モノリシック マニュファクチュール スペシャルコンテンツ
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JOURNAL 02

ブランドの哲学を象徴する
「ハートビート マニュファクチュール」

オリジナルの自社ムーブメントを開発

ジュネーブに本拠地を構え、設計から組み立て、品質管理などのすべての工程を一貫して行うスイスの時計ブランドとして名高いフレデリック・コンスタントは、21世紀に入ってからは自社開発によるオリジナルの機械式ムーブメントにも力を注ぎ、3年の歳月をかけて完成させた手巻きムーブメントのキャリバー<FC-910>と、これを搭載した2004年発表の初代「ハートビート マニュファクチュール」が世界から注目を浴びました。

自社開発・製造ムーブメントによってマニュファクチュールというスイス有数の一貫製造メーカーに仲間入りしたフレデリック・コンスタントは、手巻きムーブメントの発表から2年後の2006年には早くも自動巻きキャリバー<FC-930>の開発に成功します。ベーシックな手巻きと自動巻きに続いて、研究開発の成果はトゥールビヨン(2008年)やGMT(2011年)、ワールドタイマー(2012年)といった高度な複雑機構を組み合わせたものにまで矢継ぎ早に領域を拡大しました。これほど短期間で自社製ムーブメントと搭載モデルのラインナップを充実させた時計ブランドは世界でもほとんど例がありません。

そして、初代「ハートビート マニュファクチュール」から10年を経て2014年に発表された新世代モデル「ハートビート マニュファクチュール(FC-945MC4H6)」は、さらなる進化を遂げました。6時位置に大きな開口部を設けたハートビートの独創的なオープンダイヤルを踏襲しながら、12時位置にムーンフェイズと指針式の日付表示、9時位置に24時間表示を加え、ダイヤルにクル・ド・パリやコート・ド・ジュネーブのギョーシェ仕上げを施してクラシカルな美観を強調する一方で、自社製自動巻きムーブメントのキャリバー<FC-945>に採用されたシリコン製パーツも大きな特徴になっています。

先進的なシリコン素材が未来を切り開く

シリコン素材の導入においても先進的なブランドのひとつに数えられるフレデリック・コンスタントは、2008年発表のトゥールビヨンにおいて、機械式ムーブメントの動力伝達や精度の要にあたる脱進機に初めてこのハイテク素材を用いました。そしてこのモデルはさらに進んで、脱進機のガンギ車とアンクルの両方をシリコンから製造したパーツを取り入れ、フレデリック・コンスタントの高度な技術力を実証しています。

ケイ素を主体とする化合物のウエハーから設計通りに完全に同一の形状を作り出すことができるシリコン素材には、さまざまな特性があります。一般的な金属より軽量なシリコン製ガンギ車は回転しやすく、ぜんまいからの動力を受け渡しする際のエネルギー効率が向上します。シリコン製ガンギ車とアンクルでは、両者の接合部での摩擦が低く、エネルギーの損失を低減できます。さらに従来の素材に不可欠だった注油も不要です。シリコン素材はまた、非磁性で磁気帯びをしない点も機械式ムーブメントにとってはメリットです。フレデリック・コンスタントはこうして、スイスでも数少ないシリコン素材パーツの開発者としても名声を確立し、その後の研究は2021年の画期的な「スリムライン モノリシック マニュファクチュール」へと発展しました。

そして2022年12月、この「ハートビート マニュファクチュール」に930本限定のニューモデルが登場します。2004年のファーストモデルと同じ39mm径のケースに、繊細なローマンインデックス、スペード針とリーフ針を組み合わせた時分針、その内側に配したレイルウエイ目盛りと、クラシックの王道をゆくような新しいデザインが特徴です。それに合わせてハートビートの意匠もアレンジされています。これまではプレートと合わせてコンマ(,)を左右反転したような形状でしたが、それを完全な円形へと刷新。上質なクラシックスタイルにハートビートが際立つフレデリック・コンスタントらしいモデルになっています。

現在もブランドのフラッグシップとして人気の高い「ハートビート マニュファクチュール」は、機械式ならではのクラシカルで洗練された意匠と自社開発製造による先進的で高品質のムーブメントを融合したモデルながら、フレデリック・コンスタントが掲げる「手の届くラグジュアリー」というブランド哲学もしっかり体現しているところが何より秀逸です。時計に精通した愛好家にとっても見逃せないスイス時計の逸品です。