モノリシック マニュファクチュール スペシャルコンテンツ

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機械式時計の奥深い世界へいざなう
マニュファクチュール・コレクション

マニュファクチュール

マニュファクチュールが
意味するもの

機械式時計の世界には「マニュファクチュール」というあまり耳慣れない言葉があります。これは時計やムーブメントの設計から開発、そして製造までを自社で一貫して行うことを意味し、マニュファクチュール・ブランド、マニュファクチュール・ムーブメントのように使われます。

この言葉が持つ意味をより深く理解するには、機械式時計産業の構造を少し知る必要があります。もともと機械式時計の製造は水平分業体制を基本としてきました。ケースはケースメーカーが、ダイヤルはダイヤルメーカーが、ムーブメントはムーブメントメーカーが作り、それらを組み上げて製品化するという分業体制です。

特にムーブメントの開発には長い歳月や多大なコストを要し、さらに精度や性能のばらつきをなくすには熟練時計師の経験やノウハウが欠かせません。そのため、ムーブメントはムーブメントメーカーから供給を受けるのが業界の通例でした。長い歴史を有する老舗ブランドや、ムーブメント工房を起源とするブランドなどに一部の例外はありますが、歴史の浅いブランドがマニュファクチュール・ムーブメントを開発するにはリスクが大きく、とても現実的ではなかったのです。

マニュファクチュールが意味するもの
きっかけはオリジナリティーの追求

きっかけは
オリジナリティーの追求

フレデリック・コンスタントは、そんな非現実的ともいえるチャレンジに果敢に乗り出し、見事に成し遂げた数少ないブランドです。ブランドの創業は1988年のこと。きっかけは国際感覚に長けたピーター・スタースとその妻アレッタ・スタースが、旅先のジュネーブでスイス製のクラシカルな機械式時計に魅了されたことでした。これほど高品質なスイス製の時計を、手の届く価格でもっと多くの人に届けたい――。そんな熱い思いを抱いた二人が、「Accessible Luxury(アクセシブル・ラグジュアリー)/手の届くラグジュアリー」をブランド哲学に掲げて創業したのがフレデリック・コンスタントです。

スタース夫妻は時計業界では珍しいオランダの出身で、なおかつ異業種から新しく参入した、いわば“異端児”でした。しかしながら、革新とは往々にして異端から生まれるものです。時計業界の常識にとらわれない自由な発想やアプローチで数々のチャレンジを成し遂げ、今日のグローバルブランドへと成長させてきました。

マニュファクチュール・ムーブメント

それを象徴する一つのエピソードが、マニュファクチュール・ムーブメントを完成させるまでのストーリーです。フレデリック・コンスタントは1988年のブランド創業からわずか16年後の2004年に、ムーブメントまで自社で開発・製造したマニュファクチュール コレクションのファーストモデル、「ハートビート マニュファクチュール」を完成させます。きっかけとなったのは、その10年前に発表した「ハートビート」でした。

1994年発表の「ハートビート」は、世界で初めてダイヤルにオープンワークを設けたモデルです。開発の原点にあったのは、機械式時計の一番の魅力である機械の動きを時計の表面からも日常的に楽しんでほしいという思いでした。

それまでの時計業界には「文字盤に穴を空ける」という発想はなく、まさに前代未聞のチャレンジでしたが、蓋を開けてみればその斬新な意匠やテンプの動きが見える楽しさがユーザーから大好評を獲得。異端はほどなくして広く市民権を得たのです。

しかしながら、「ハートビート」が好評を得るとその評判は他ブランドにもすぐさま伝わり、以降多くのフォロワーが生まれました。オープンダイヤルのパイオニアであるはずの自分たちが、ワン・オブ・ゼムになりつつあることに憤りを感じた開発陣が目指したのは、フレデリック・コンスタントだけのオープンダイヤルを作ることでした。

これまで12時位置に設けていたオープンワークを6時位置に移動し、そこからテンプが見えるような時計が作れないだろうか――。

当時、ムーブメントメーカーが作る汎用機はテンプが12時位置に置かれたものが大半で、6時位置に置かれたものを入手するのは非常に困難でした。理想とする機械がないなら自分たちで作るしかない。開発陣の間にはそんな機運が高まっていました。そしてそんな機運が運命的な出会いを引き寄せます。

時計
フレデリック・コンスタント

ある日、フレデリック・コンスタントの工房に時計学校の優秀な学生たちが見学に訪れていました。創業者のピーター・スタースは彼らにこう告げます。「私たちは6時位置にテンプを置いたムーブメントを自社で開発したい。それを手伝ってくれる人はいませんか?」。そこで名乗りを上げたのが、時計学校でマスターウォッチメーカー賞を手にしていたピム・コースラグでした。ピーターはピムの熱意と将来性を買い、フレデリック・コンスタントのファミリーに招き入れたのです。ブランドの開発チームに学生を加えることは当時としては異例なことでしたが、その“常識破り”の英断が見事奏功。マニュファクチュールへの道を切り開き、2004年の「ハートビート マニュファクチュール」へと至ったのです。

高い機能性と
シリコン素材の
ハイパフォーマンス

フレデリック・コンスタントのラインアップの中でも、マニュファクチュール コレクションは機械式時計の多彩な魅力を堪能できるコレクションです。その魅力を挙げるとすれば、まずはより高機能のモデルが楽しめることです。

フレデリック・コンスタントが自社開発したムーブメントは、手巻きや自動巻きといったシンプルなムーブメントをはじめ、世界の複数の都市の時刻がわかるGMTやワールドタイマー、リセットと同時に次の計時を開始するフライバック クロノグラフ、地球の重力による精度誤差を低減する複雑機構のトゥールビヨン、そしてトゥールビヨンと西暦2100年まで調整不要のパーペチュアルカレンダーを搭載したコンプリケーションなど、この20年足らずで30を数えます。機械式時計の世界に足を踏み入れたユーザーの方が、ワンランク上のモデルへ、あるいはより自分のライフスタイルに合ったモデルへと、奥深い世界の扉を一つひとつ開いていけるようなラインアップになっています。

そしてもう一つが、シリコン素材ならではのハイパフォーマンスを享受できるモデルが充実していることです。シリコン素材とは一般的な金属に比べて軽量でありながら硬度が高く、なおかつ耐摩耗性に優れる素材です。機械式時計の心臓部といわれる脱進機のパーツにこのシリコン素材を用いることで、ムーブメントの主ぜんまいから放たれる動力を効率的に伝達することができ、結果的に精度の安定やパワーリザーブの向上につながります。また、非磁性素材のため磁気帯びの心配がなく、さらに基本的に注油の必要がないのでメンテナンス性に優れている点も特徴です。

フレデリック・コンスタントは、シリコン素材がまだ一部のトップメーカーだけのものだった2008年にシリコン製ガンギ車を備えた脱進機を開発し、以降着々とシリコン素材の加工・成形技術に磨きをかけてきました。

高い機能性とシリコン素材のハイパフォーマンス
フレデリックコンスタント

その一つの集大成が、2021年に発表した「スリムライン モノリシック マニュファクチュール」です。
このモデルの革新性は、それまでは別々のコンポーネントだった脱進機、テンプ、ひげぜんまいを、シリコン製モノリシックオシレーターという一つのシリコン製のプレートにまとめ上げた点にあります。伝統的なメカニズムの延長ではない、まったく新しいこの振動子の発明により、一般的な機械式ムーブメントの10倍の毎時28万8000振動(毎秒80振動)という驚異的なハイビートを実現したのです。これは世界初の偉業となり、機械式ムーブメントの高精度化に新しい扉を開きました。

すべては
「手の届くラグジュアリー」
のために

そして最後に、マニュファクチュール コレクションの魅力を語る上で欠かせないのが、手の届く価格帯であることです。前述のようにマニュファクチュール・ムーブメントの開発には多大なコストがかかるため、そのムーブメントを搭載した時計は高額になるのが一般的です。しかしながら、フレデリック・コンスタントのマニュファクチュール コレクションは、市場に出ている同クラスの機種と比べて価格を大幅に抑えています。

その秘密は、ムーブメントの開発思想にあります。フレデリック・コンスタントのムーブメント開発では、性能や美しさはもちろんですが、それと同等にコスト計算を綿密に行っています。「このムーブメントを備えた時計をこの価格内で作る」というように、あらかじめコスト目標を厳格に定めているのです。

なぜならば、フレデリック・コンスタントには、「Accessible Luxury(アクセシブル・ラグジュアリー)/手の届くラグジュアリー」というブランド理念があるからです。スイス製の高品質な時計をより多くの人々に届けたいという創業の理念は、たとえそれがマニュファクチュール・ムーブメントになっても変わることはありません。ほかと一線を画す“ブランド”たる理由がそこにあるのです。

フレデリックコンスタント

フレデリック・コンスタントのマニュファクチュール コレクションは、2004年にファーストモデルを発表して以降、着実にラインアップを拡充してきました。2019年には、年々高まる世界的なニーズに応えるために、自社工場をおよそ2倍の6200㎡へと拡張。より多くの人に魅力を届けるために生産能力を大幅にアップさせています。

ムーブメントが自社開発・製造のものかそうでないかは、一見ではなかなかわからないものです。しかしながら、着けた人だけにわかるものが確かにあります。日々実感する高い性能、ずっと眺めていたくなる美しい仕上げ、そして来歴がはっきりしたマニュファクチュール・ムーブメントという満足感。これらが織り成す高揚感以上に、機械式時計を選ぶ理由があるでしょうか。ぜひ、フレデリック・コンスタントのマニュファクチュール コレクションでワンランク上の高揚感をお楽しみください。